ルー大柴、なにやってるんだろうね。

本多作品、これは長編です。
やっぱり私は長編のほうが好き。がっつり読めるから。

こないだも書いたかもしれないけど、
やっぱりこの人の書く話の主人公というのは、
その話ごとに個性があるにも関わらず、
みんな同一人物のような気がする。

この話も、突飛な設定はあるとはいえ、
決してつまんないわけじゃないんだよね。
けっこうぐんぐん読めるし。おもしろいと思う。
けど、トータルすると、どーも捉えどころがないというか。
どういえばいいのかよくわからないというか。
そういう空気のお話。

しぶちん京都

2006年10月1日 読書
ナマの京都、という本があります。以前、かちゃさんに教えてもらって読んだそれの
続編に当たります、今度のしぶちん京都は。

これをもし読むのであれば、
ナマの京都は必ず読んでおくことをお勧めします。
未来くんの話の、ベースがナマのほうに書いてあるので。
しぶちんでは、ナマ以上に未来くん大活躍です。
普通に笑えます。1人で部屋で読んでて笑っちゃいました。

全然、観光ガイドにはなりません。(あ、ちょっとはなるかな?)
そういう本ではないので。
ただ、京都好きじゃないと楽しめない、とかいう本ではないので。
けっこうお勧めです。おもしろい!

季節もの

2006年9月29日 読書
もう何年かな、4年前かな。
春と秋は、やはり桜と紅葉で色づく季節なので、
この時期、HanakoWestで必ず京都特集をやります。
それは欠かさず買っています。
これは、なんか、自分の中で無条件に買うことになっているのです(笑)
今回もまた。こないだFIGAROも買っちゃったんだけどね。
幸いにも、今年、また京都に行く機会があるので、
久しぶりの京都を今から楽しみにしています。

最近は、HanakoWestとかMeetsを扱う書店が増えました。
SAVVYもけっこう見かけます。
とってもありがたいことだわ。特集を見て、つい買っちゃったりします。
パンバカで京都バカ。で、スラムダンクバカ。どーしようもないね(笑)
来月、リアルも出るね。今、ヤングジャンプの電車の中吊り、リアルだよねー。
これは恋愛小説なんですか、はぁ、そうですか。
いわゆる、ベタな、王道の恋愛小説ではないですね。

最後の話「シェード」は、私の中のイメージは完全に地球屋でした。
バロンが置かれていた、あのアンティークショップです。
あの、とか言っちゃうあたりが気持ち悪いね、私(笑)
耳をすませばにでてくるんですけどね、地球屋って。

どうして、この本にFINE DAYSというタイトルをつけたんでしょうか。
なんとなく、そこが気になりました。

この人の話に出てくるキャラクターは、みんな似ていますね。
全て同一人物の山下くんです、と言われたら、
あぁそうなんだ、と思えるような。
当然、作者の主観が含まれているんだろうけど、
作者ってどういう人なんでしょうね。

MISSING

2006年9月21日 読書
MOMENTに続き、この人の作品は2つめ。
これもO氏に借りた本です。
O氏は本多さんが好きらしい。ほかにも本多作品を何冊か借りてる。

私はMOMENTよりもこっちのMISSINGのほうが好きでした。
特に、瑠璃が好きだったかな。ルコの破天荒なところとか。
どの作品も、ぼかしている部分があって、
作品の完成形がどこなのかを、読者の心持に委ねられています。
だからおもしろいと思う。だからはっきりしない時もある。

本多ファンは多いんだと思う。
淡々とした感じがこの人らしい。
夕焼け空でも、この人が書くと、どこかに青みが差しているような気がする。
こないだ、O氏とオーケンの話をしていて。
そしたら本屋さんでオーケンの本を見つけたのでつい買ってしまいました。
今日の日曜美術館にもオーケンが出てました。

これは小説ではなくて、エッセイの類だと思います。
本人の経験談というか。バンドブームのあの頃の話が盛りだくさん。
HEY!HEY!HEY!で有名になった、YOSHIKIのカレーが辛い事件も出てくるし、
ミスチルの桜井さんが野音で歌う前にびびってる話なんかも出てきます。
90年代初頭、小学生から中学生になる年代だった私には
わからないバンドもいくつか出てくるけど、
ユニコーン時代の民生の話や、ジュンスカの話なんかもでてくるし、
タイトルからもわかるように、ブルーハーツのネタもでてくるし
私はわりと楽しめました。
それに、バンドブームの渦中にいたオーケンだから、
時に、歯に衣着せぬ描写があったりで、それもおもしろかった。

そしてなによりも、最後でぐっと来ちゃいましたよ、なにげに。
コマコの一言で。
だってラバーソール買っちゃおうかと思ったもん。(影響されすぎ)

今度、O氏にグミ・チョコレート・パインも借りると思います。
グミ編、チョコ編はおもしろかったって言ってた。

陰日向に咲く

2006年9月13日 読書
O氏と第2回、本の交換をして借りました。
表紙だけでもひとしきり笑わせてもらいました。
「本で初めてだよ、ジャケ買いしたの」と言っていました。

ひとりが、けっこう絶賛されてるっぽかったので、
それなりの期待で読んだのですが。
短編集だからわりとあっさりだけど、
でも、これだけ書けたらすごいよね。うん。
厳しいこと言えば、カラーが全体通じて似通ってたかとは思うけど、
エピローグは、あぁそう来ましたか、と。やられた感じです。
劇団ひとりのへたれ加減が、文章にもそこはかとなく漂っておりました(笑)
アイデンティティーですね、それってもはや。

O氏はこないだ、シェークスピアを買っていました。
また別の友達(ジモティ)はナポレオンを持っていると言っていました。
みんな、ひとり好きです。

まさし

2006年9月9日 読書
映画は観ていません。
ドラマは、再放送しているのをちょこっとだけ見たことがあります。
何話だったかまでは覚えてないけど、
去年の、あの中耳炎の一件の時、これを見たような(笑)

本を読んでみました。
さだまさしの本を読むのは初めてです。

私、これって解夏だけかと思ってたの、収録されてるのが。
そしたら、解夏って短編なのね。他に3話入ってました。

2話目の、秋桜っていうのは、個人的にはそんなでもなかったけど、
他の3話はおもしろかったよ。
3話めの、なんだっけ、水底の村か。
おもしろかったけど、ありきたりと言えばありきたりな設定。
でもよかった。(どっちだよ!って感じだけど)
さだまさしに期待していなかったので、余計にかもしれない。
これだけの文章が書ければすごいなぁと思いました。

解夏を映画化、まではなんとなくわかるけど、
よくドラマにしましたね。この短編を11話分にまで伸ばすとなると、
かなり独自の脚色が必要になるはずだから。
ともすれば、原作をつぶしかねないかと思うけど、
実際、ドラマはどうだったんでしょう?見てないからわからないけど。
けっこうよかったのかな。

映画を観てみようと思います。大沢たかお、好きだし。
久しぶりの東野圭吾。
この話は、決してミステリーではない。
(この文庫の帯には「究極ミステリーズ」って書いてあるけど)
どちらかというと、ハートフルストーリー。
ちなみに、私が読んでた本の帯には「泣ける本フェア」って書いてあります。

自分の若かりし頃に、自分の息子であるトキオに会った、という話。
back to the futureみたいな。
デロリアン(で合ってたよね?)はでてこないけどね。

そんな夢物語、あるわけないんだけど、
でもそれはそれで。うん。
ただ、東野好きの私だけど、時生はそうでもなかったなぁ。
あるわけのないタイムトリップで現実感ないよー、というわけではなく。
消えた恋人を追っかけていくうちに、事件に巻き込まれていくんだけど、
なんかねぇ、その流れがねぇ。
よくあるアクション映画というか、そんな感じで。
いまいち入り込めなかった。
東野圭吾ってこんな感じだったっけ。

幻の光

2006年8月3日 読書
これは、是枝さんの映画を観たことがあって。もうけっこう前になるんだけど。
それで、原作はどんなものなのかな、って思ってたんだけど、
こないだ、本屋さんでたまたま見つけたもので読んでみました。

映画は、原作の空気感はそのままにしていたんだな、と思いました。
どこか薄暗く、どんよりした空のイメージです、幻の光は。
事実、重苦しいという表現は合わないんだけど、
でももったりとした雰囲気の作品です。
宮本輝って、現代文学!でもなく、かと言って近代文学というと、
夏目漱石とか三島とかになりそうで、それでもないし、
近現代文学というか。そういうポジションですね。

短編4作なのでさくっと読めます。本も薄いしね。
宮本輝って、関西の人なんだよね。神戸の人だわ。
これ、幻の光も、前に読んだ彗星物語も、舞台は関西だったから。
合ってるかわからないけれど、読んでいると言葉がやっぱり関西の発音になります。

夏子さん

2006年8月1日 読書
読んだのはYondaです。(=文庫です)
文庫にするにあたり、加筆してたりするのね、伊坂さんって。

私は重力ピエロが一番好きかもな、今までのなかでなら。
けど、なんていうの。この人、伊坂さん。
独特の伊坂臭がありますね。全編に渡って。どの作品もだけど。
しかも、それがかなり固有の強い匂いです。
それがあるからこそ、伊坂だろ、って感じですけどね。

重力ピエロを読むには、
オーデュボンの祈りも、ラッシュライフも読んでおかないと。
そうじゃないとわからないわけじゃない。話はもちろんわかるけど、
この人、あっちこっち、本筋とは違うとこでさ、リンクさせるから。
そういうの、わからないもんね。

重力ピエロはミステリー、にあたるのかな。
謎解きといえば、謎解きだからね。
うすうす感づいていたけど、やっぱり・・・って思ったり、
あぁ、そうだったんだぁ・・・って思ったり。

伊坂作品に限ったことじゃないけど、特に伊坂さんのを読んでると、
人物がかなり個性強いのもあって、いろんな話題に飛び火したりするんです。
だからといって、無関係なネタを出してきて、そのまま放置したりは絶対にしない。
ここでこの話をするってことは、必ずどこかに繋がってくる、
それはわかってはいるんだけど、
最後にそれがわかって「こう繋がってくるのかぁ!」と思わされます。
火は身の潔白を証明する。あぁ、そういうこと、って思いました。

ラストのパパの言葉。
あの一言には泣きそうにすらなりました。
私、実は石田衣良もあまり好きではない。
IWGPが、私には全然おもしろくなかったのだ。
で、書くもの書くもの「IWGP」の名の下に書くじゃない。
なんか、それもどーもね、って思って。
けど、これもO氏が貸してくれたんだ。
実は、O氏と本の趣味は合わないのか?(笑)
私が貸したガンエヴォはおもしろいって言ってたけど。

これも、酒鬼薔薇事件がベースになっている小説。
解説では、評価されていた1人称の書き方。
私、あれがあまり好きではなかった。
1人称で書くことが嫌いなわけじゃない。
この本の、あの1人称の書き方があまり得意じゃなかっただけ。

でも、話はまぁわりと。
ありきたりじゃんってとこもあるし、
ラストはムリムリだろ、ってとこもあるけど、
桜井亜美だったっけ?の14に比べればかなり読みやすい。

読みやすいからなんだ?って話ですね。
自分でも思います。
このお話は、まぁきれいなところに着陸はしてくれているし、
あくまでそれがフィクションだというのもわかった上で読めるので、
まぁありなのかな、と思いました。
村山 由佳という名前は、こんな私でも一応知っている。
書店で見かけますから。
なんだっけ?おいしいコーヒーの淹れ方だっけ?紅茶の入れ方だっけ?
そんなタイトルの本も書いてるよね?
けど、まぁ見るからにというか、いわゆるラブストーリーなんだろうと。
女の子対象です、みたいな本なんだろうと。
で、たぶんそうだと思うんですが。
そこに、まさか私が自ら足をつっこむわけもなく。素通りしてたんです。

が、まさかねー。私が村上由佳を読むなんてねー。自分でもびっくり。
って、自ら手にしたわけじゃないですよ!!
これもO氏に借りた本なんです。
O氏からこれを借りるとも思ってもみなかったので驚くけど。
私が池波正太郎を貸したら「お前からまさかこの本借りると思わなかったな、おもしれぇ」
といわれたけれど、この本に対して、そっくりそのままお返ししますわ!

で、感想ですが。
あまりにド恋愛ストーリーで面食らいました。
ひねりもなにもないのね。素直とか純粋とかいうより、ピュアって言葉を
使わなくちゃいけないかのような、そんな雰囲気。

これって、村上由佳のデビュー作?なんだよね。
どーも、時代錯誤的なレトロ感があると思ったら、
文庫の初版がなんと10年前。そりゃレトロでもしょーがない。
で、重版に重版を重ねて、私が借りたのは34版くらいでした。へぇ〜。
正直言えば、これがなんでそんなに重版になるのか、よくわからんです。
作家だから、うまいんだろうけど、
なにかが抜群に秀でているという印象は受けません。
くりぃむしちゅーのさ、ベタ男とベタ美のやつあるじゃん。
まさにあれに出てきそう。ベタな恋愛小説、次はこうなる!みたいに。

王道、というか、お約束、というか。
そういう小説でした。
私、仮に自分が作家になったとして、仮に恋愛小説を書くとして、
絶対、これは書けないわ・・・

14―fourteen

2006年7月12日 読書
今までに読めなかった本がある。
というのは、なぜか読み進められなかったという本。
なんだろうね。話なのか作者なのか、私、合わなかったんだろうね。
別に、話がつまらないわけじゃないのに、
どーも飲み込めない本があった。
なので、途中で読むのをやめた作品もいくつかある。

けどそういうのはもちろん、本の記録としてここには残してないし。
そうじゃなければ、自分の中のルールというか、勝手な決まりとして、
本や映画、読み終わったり観終わったりしたらここにレビューを書くと、
なんとなく漠然とそういうことにしている。

けど、この本、例外。
まだ読み終えてないけど書いちゃおう。
一応、読みきるとは思うけど、今の時点で流し読みも流し読み。
斜め読みってやつかな。してるから。

これもO氏に借りた本で、
借りる時点でO氏から「この本は作者の思い込みやらが強いから嫌いかもな」
と言われていたから、その心構えはできてたけど。

これ、よく出版したね。
書くほうも書くほうなら、出すほうも出すほうですよ。
主人公は、酒鬼薔薇です。
もう8年前?とかになるのかな。神戸のあの事件の犯人。
彼の視点で書かれている「小説」なんです。
つまり、フィクション。作られた酒鬼薔薇像なんですが。
んー。ひどいね。
私は別に酒鬼薔薇の方を持つわけじゃないし、どんな人なのか知らないけど
この書き方はないんじゃない?

途中で読むのやめるのも気分が悪いから一応終わりまで読もうという感じ。
んー。んー。この人、なにが書きたいんだろう。
アマゾンのレビューでも
「伊坂幸太郎の『ラッシュライフ』が好きな人は読んでください」っていうのがあった。
言われて初めて、あぁ、って思ったけど。
ラッシュライフとは別物かな。

恩田陸という名前は、もうずっと前から知っていたけれど。本屋さんでもよく見かけるし。
けど読んだことがなかった。
これも実はO氏に借りたんだけどね。

けど、これまた私にはうーん、だったなぁ。
話がいまいちとか、進み方がとか、構成が、ではなくて、
ただ単純に登場人物が好きじゃないんだと思う。
ミステリー研究会だかの学生とか、イケメンのたらしとか、
国会中継を録画しちゃうまじめ女性とか、元警視庁OBのじいさまたちとか。
殊に、ミステリー研究会の学生というのが、私、嫌いで。
ミステリー読んでると、案外これがよくでてくるんだ。
推理小説だっけ?アンフェアの原作になった。あれにも出てくるよね、たしか。
実際、大学にミステリー研究会がどの程度あるのか知らないし、
まぁ、いろんな同好会があるからミステリー研究会もあるんだろうけどさ。
なーんか、チープなんだよね。

で、これは、タイトルが「ドミノ」だから。
倒れ始めたドミノのピースは止められないでしょ。
そういう感じなんだけど、
なんかねー。登場人物は多いし、どの場面もどこか軽いというか、
ほんと、チープな感じがしてしまって。
途中からはほとんど流し読みしてました。

ちょっと残念。

MOMENT

2006年7月6日 読書 コメント (3)
初です、この人の作品は。
オムニバス形式というか。主人公の神田くんがいて、
神田くんは病院で清掃員のバイトしてるんだけど、
その状況設定は変わらないけど、お話が4つ。
4人の人にまつわる話というか。

まぁおもしろいけど。
私としてはまぁまぁというか。
個人的に、(あくまで個人的に)
この人の起伏と自分がそう同調しないというか。
妙に毒づいたり、平静を装ってそりゃないよみたいなとこがあったり、
そういうのがなんか、って感じでした。

O氏から借りたうちの1冊で
「伊坂幸太郎が好きなら好きだと思う」って言ってたんだけど。
伊坂好きで、これも読んだ人、いませんかね。
いかがでしょうか。

モリシゲ

2006年6月27日 読書
リリー人気にあやかってか、今、この本検索したら、
割と順位が上位だった。
ナンシー関とリリーさんの、クレアでの対談を本にまとめたものらしい。
この2人の対談ですもの、おもしろいに決まってる!

と思って読み始めたのですが、序盤は思ったほどじゃなかった
けど、それも回を追うごとにいい雰囲気になってくる。
やっぱり、最初はリリーさんとナンシーさんの距離があるのよね。
それが縮まっていくのは手に取るようにわかります、読んでて。

本当はもっともっと続くであったはずのこのコラムも、
ナンシー関の死という形で終わりを迎えてしまったわけです。
ナンシーさんが「10年後なにしてるのかな。消しゴム彫ってるに違いない」
とか言ってるのがさ。逆に切なく思えてくる。

リリーさんのエッセイもおもしろいが、
ナンシー関はその上を行く。
言い得て妙とはまさにこのこと。
かゆいところに手が届くというか、
「そうそう。そうなのよ!」ということを言葉にするのが非常にうまい。

このエッセイは、ナンシーさんの的確なつっこみ具合も、
リリーさんのひどいありさまも、いいバランスで読むことができる。
中盤以降、「ククク」と笑える箇所がちょいちょいあるし、
リリー好きにも、ナンシー好きにも楽しめると思う。
序盤のおかしな堅苦しさも、初々しくておもしろい(笑)
初 宮本輝です。
これもO氏のオススメだったので読んでみました。
O氏はこれ、すっごく大好きで、何度も読んでて、
そのたび、最後に泣くと言ってました。
電車の中で読みながら泣いたことがあるって。
「私の目の前で男の人が本読みながら泣いてたら引くからそれはやめなさい」
と忠告しておいてあげました(笑)

宮本輝って、勝手に思ってただけなんだけど、
もっと堅苦しい文章を書く人なのかと思ってた。
そしたら、なによなによ、むしろ下町的なのね。
この作品がそういう風情のお話だからだけど。

平凡な人生なんてね。
実は全然平凡なんかじゃないんですよ。
ってこと、最近はもう気付いてます。
みんな、なーんにもなかったような顔してるけど、
みんな、なにかの問題やらに直面しながら生きてるのよね。
そんな一面もあったりします。
幸一にいちゃんのエピソードがもう少しあってもよかったかもね。

ラストに向かう、いわゆるクライマックスで、
さすがに泣きはしなかったけど、鳥肌の立つような感じがあり、
「これがO氏の言ってたことなのかなー」なんて思いながら読んでいましたが。
いや、いや。
泣きはしなかったけど、涙が込み上げてきた。最後の一文。
そういえば、O氏も「最後の一文」って言ってたっけ。

どこのご家庭にもありますよね、こんなこと。
とまでは言いませんが、遠い世界の話ではないので、
身近に感じながら読むことができるかもしれません。
最後の一文でどうぞ泣いてください。

ラッシュライフ

2006年6月16日 読書
私が読んだのは文庫だけど、
こっちの表紙のほうがいいね。

エッシャーの絵が軸にあります。この話。
私、エッシャーって好きなんだよね。

最後の解説を読んでて、
メメントや25gを思い出させる、というようなことが書いてあったんだけど、
まさにだね。そういう感じ。
自分がどこに立っているのか、あの時どこに立っていたのか、
最後になると「なるほどねー。あそこにいたわけか」とわかる。
点と点と点と点と点が線に、いや、渦にというべきかな、
になるのは、当然読めるわけだけど、
ラストに向かってぐるぐるぐるーって高速回転。
こうして、こうして、こうして、こうして、繋がっていく。

誰か、ドラマ化や映画化でもしそうだけどね、これ。
でも小説にしかできないことしてるんだよね、これって。
たしかに、うん、そういう要素もあるし。
ドラマにするなら、新興宗教の件もちゃんとやるのかなーとか考えちゃった。

不思議な文章を書く人ですね。伊坂幸太郎って。
だからいいんだろうね。
ちょっと間違えれば、とんでもない方向に走っていっちゃいそうな小説なのに、
そこを間違えてないから、違う意味でとんでもない作品になる、というか。

重力ピエロって文庫化してないの?もうしてるのかな。

優午

2006年6月8日 読書
伊坂作品2つめ。
これが処女作だそうです。
そーか、そーか。これを私の年くらいで書き上げているんだ。

これは、どうやらミステリーの分類されるみたいだけど。
言われてみれば、そうか、ミステリーなのかもしれない。
謎解きだもんね。そーか、そーか。

っていう小説。
いわゆるミステリー!ではないと思う。
ミステリーによくある殺人。
優午が死ぬから、人の死という場面が出てくることには出てくるけど、
優午って、人じゃなくて、しゃべる案山子だもんなー。

この人は、とんでもないロマンチストかもしれないね。
陽気なギャングでも、ロマンはどこだ、だっけ?ロマンって
言葉がよく出てきたと思う。
響野は、絵に描いたまでのロマンチスト代表みたいな人だったと思うけど、
伊坂幸太郎もそれに匹敵するんじゃないかな。
だって、すっごいおデブの、動くこともできない女性がでてくるんだけど、
彼女、ウサギっていうんだよ。
自分のルールに則って、拳銃で人を撃っちゃう美形の男性がでてくるんだけど、
その人、桜っていうんだよ。しかも桜はいつも本を読んでるの。詩が好きなの。
そんな設定、ロマンチストじゃなくちゃ思い浮かばないでしょ。

で、そんなロマンチックなメルヘン世界に、(いや、別にメルヘン世界ではないか)
すっかり慣れてしまいそうな自分に気付いて
「おいおい、自分はこんな奴だったか?」と自問してるの、主人公の伊藤が。
この、オーデュボンの祈りは、伊坂幸太郎の頭の中を文字に起こしたものかもしれないね。

不思議な空気の世界です。おもしろいけどね。
「おもしろい!!」っていうのだと、陽気なギャングのほうがおもしろかったけどね。
次はラッシュライフ。

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