本当に久しぶりに、狂言を観に行きました。
本当はもっと行きたいの。
けど、お金がないの(笑)
旅行とか遊びとか、いろいろ入用でしてね(笑)



第44回 野村狂言座@宝生能楽堂

狂言:茶壷
すっぱ・佐藤友彦 中国の者・佐藤融 目代・高野和憲

狂言:栗焼
太郎冠者・野村万作 主・野村万之介

狂言:金津地蔵
子・野村裕基 親・野村萬斎 金津の者・石田幸雄
立衆・月崎晴夫 高野和憲 竹山悠樹 深田博治 時田光洋 岡聡史
笛・八反田智子

今回は頂いたリーフレットに後見の方のお名前がなかったんだけど。
金津地蔵の後見は万作さんでした。

宝生能楽堂に行くのがとても久しぶりです。
まず、狂言を観に行くのが久しぶりだし、
ここのとこ、国立能楽堂に行くことが多かったので。
けど、今回、最後列だけど、正面席だったのです!
ほんと、真ん中の席で。
正面席から観る狂言は、やっぱりいいものです。


茶壷で、正面から見ているので、3人が並んだ時のバランスが、
なんとも狂言らしくてよかった。
栂尾のお茶を買いに行った「中国の者」って人、
中国って言っても、中国地方の人、ってことなんだけど、が
酔いつぶれて寝ちゃうところから始まるこの狂言。
掛け合いのテンポがよかったし、わかりやすくておもしろかったなぁ。

栗焼の太郎冠者が万作さん。
万作さんが太郎冠者、っていう狂言を観るのは初めてかもしれない。
栗を竈で焼くんだけど、
その様がまぁ、本当に炭に栗をくべて、
焼けた栗をはふはふやっているようで、
もぉ、ほんと、そこに栗があるかのようでした。
万之介さんの飄々とした言い回しもおもしろいけど、
万作さんはなんと言っても声が渋い。
もちろんお年のせいもあるけれど。
いいね、あの声、そしてあの目。

金津地蔵はシテが裕基くん。
久しぶりに観たけど、相変わらずかっぽそいねー、裕基くん。
もっともりもり食べなくちゃダメだー!(笑)
裕基くんに地蔵の服を着せる時にね、
もちろん舞台に立っていて役も親である、萬斎さんが着せるんだけど、
さらに後見の万作さんが後ろからお手伝いしていて。
3代の役者さんが舞台の上に。
萬斎さんの本を読んだ時に、小さい頃から狂言師になることを強制されたわけではない、
というようなことを書いていたと思うので。
裕基くんもそういうスタンスで育てられるのかなぁ。
けど、こうしたおじいさん、お父さんに育てられ、こういう環境で育つと、
やはり狂言の世界になにかを見出すのかなぁ。
いつか彼も狂言師になるのかなぁ。

お地蔵さんになってからは、ずっと面をしていた裕基くん。
面をしたままの謡いはなかなか苦しそうでした。
けど、最後に、石田さん以下ザザッと7人が並ぶとね。
いやー、よかったねー。圧巻でした。
こういう、人数が多い狂言は余計に正面から観るとまたよい。

今回は、外国人の姿を見ることが多かった。
どうやってここにたどり着くんだろう。
よっぽどの日本好きなのかなぁ。
日本人がオペラ観賞するようなものなのかなぁと思ったけど、
それにしても、まずは歌舞伎をかじるよね。

平日だったということもあるのか、
いつもよりは、おばさま率が高かったような気がしました。
それとも、一時期のようなミーハーなお客さんが減ったのかな。
ま、私もミーハー客の1人なんでね、人のこと言えませんけど。

 
18時半開演ということで。
定時であがってダッシュすれば間に合うかなぁとは思ったんだけど、
定時で帰れるとも限らないし・・・
というわけで、いっそ休んでしまえ!ってことで午後半休をとったのです。
なので、午後がずっとフリー。
そんな私のすることと言えば、パン屋さん巡り!

どちらも好きな土地、代々木上原と本郷のパン屋さん巡りをしました。

マルイチに行ったんだけど。
本当はいつも通り過ぎているプーブーにも寄ろうと思ってたんだけど、
マルイチでついつい買いすぎちゃって重かったから、
プーブーはまた次回!ということで。
けど、ドーナツのハリッツに寄りました。
ちょっとだけ席も空いていたので、2つお持ち帰りで1つはイートイン。
小さなドーナツ屋さんだけど、ほんと、ひっきりなしにお客さんが来るのね。

ハリッツでドーナツも食べたんだけど、
マルイチでサンドにもしてもらったからさ。
代々木公園に行って、ランチにしました。
マルイチのサンドって、人様の前で食べるのには向かないんだけどね(笑)
すごいボリュームだから。これぞ、アメリカ!みたいなサンド。
マルイチは珍しくたいして並ばず、すぐに買えた!

代々木公園から本郷へ移動。
明月堂へ。もう夕方だから、パンの種類が少なかったけど、
甘食はあったのでそれと、母が好きそうなぶどうパンを買って。
帰って母に「好きそうなぶどうパン買ってきたよ」と渡したら
おいしい!って絶賛してた。パンがおいしいね、って。
私が買ってきた、いわゆる有名店のパンをばっさばっさと斬るうちの母ですが、
明月堂のパンは非常にお気に召したらしく、甘食もおいしい、おいしいと言っていました。

そこから本郷周辺を歩いて。
宝生能楽堂に来る時と、健康診断の再検査の時は
私、この辺りをぷらぷらするんですね。パン屋さん巡りのために(笑)
私、本郷周辺って好きなんだ。街の感じが。
あんな都会の真ん中なのに、古くからの「商店」みたいなお店がいっぱいあるんだよね。
人がいっぱいでゴミゴミしてるわけでもないし。
歩きながら、今回もますます好きになりました。

ハンバーガーが有名らしいファイヤーハウスにも行こうかと思ったんだけど、
マルイチのサンド食べてるから入るはずもないので(笑)
てくてく歩いていると、今回は寄らないぞ!と決めていたマヌビッシュの目の前に出てきてしまいました。
・・・そうなったら素通りできないでしょ?
というわけで、本当はデリも欲しかったんだけど、バゲットだけお買い上げ。

それから、ちょっと足を延ばして、白山へ。
白山ベーグルというお店へ行きました。
そこで時間もあるので、お茶しながら、店内にあった雑誌を読んだりしてね。
白山ベーグルって、もっと大きなお店なのかと思ってた。
そこでもベーグルお買い上げ。当然だけど。
私、エコバッグ持参だったんだけど、これが大正解。パンを入れて軽快に歩けた!


そんなわけで、仕事サボって、パン屋さん巡ってたわけです。あはは。

初笑い

2007年3月31日 狂言
第37回 狂言ござる乃座@国立能楽堂

狂言:横座
牛主・野村萬斎 何某・野村万之介 牛・竹山悠樹
後見・深田博治

狂言:重喜
重喜・野村裕基 住持・野村万作
地謡・月崎晴夫 高野和憲 石田幸雄 深田博治 岡聡史
後見・野村良乍

狂言・寝音曲
太郎冠者・野村萬斎 主・石田幸雄
後見・高野和憲

 
3月の最終日にして今年初めての狂言です。
前に観たときからだいぶ空いてしまいました。

今回の狂言3作とも、わかりやすくて、ケラケラ笑えるものでした。
ちょっと肌寒かったですけど、
春のおだやかな陽気にはぴったりの演目だったと、個人的には思います。

横座は、牛が出てきます。
牛ってあだなの人でもなく、本当に牛です。
いや、本当に牛って言っても、本物がでてくるわけじゃなくて(笑)
牛に扮しているんだけど。
動物がこうして出てくる狂言を初めて観たような気がします。
え?牛??って思うような出で立ちでした(笑)
でもね、不思議なもので、観ていると、牛に見えてくるものなのです。
モー、なんて鳴いた日には「牛だー!」って感じです。

万之介さんの飄々として感じがよいですね。
そこに、しれっと「200回言わせろ、100回言わせろ」という萬斎さんがまたよかったです。

重喜は、裕基くんがシテです。
きっと、今回のござる乃座はこれを楽しみにしていた人が多いだろうな〜。
私もそうですけど。
裕基くんが出る狂言は何度か観たことあるけれど、
こうしてセリフ?の多い狂言ははじめて。
かわいいねー。一生懸命やってるっていうのが、もうがっつりと伝わってきます。
万作さんや萬斎さんだと「振り向く」という表現があうような動き、
つまりが後ろを向くような動き、
裕基くんだと「ターンする」って感じ。くるっって。まだ小学生だもんねー。
その小学生の小さな子供が、意味のわからない言葉をこれだけたくさん覚えて
動作も覚えて、っていうのは相当に大変なのじゃないでしょうか。
厳しいお稽古してるんだろうなぁ。

途中ね、忘れちゃったとこがあるの、裕基くんが。
そしたら万作さんが教えてた。なんだっけな?ぼそって頭のセリフを言ってました。
それがまたほほえましくてねー。
万作さんの声は厳しかったですけどね。

裕基くんも狂言師になるのでしょうか。楽しみだな。

 
寝音曲もおもしろかったー。
萬斎さんの、声音が変わるのね、すーっと。
それが本当におもしろかった。
最後に謡いながら踊るんですけどね、
野村家だと普通、「海人玉ノ段」って曲で舞うんだけど
今日は「咸陽宮琴ノ段」っていう曲でした。
海人〜を観たこともないし、観たとしてもそこまで覚えてないけど(笑)
どっちがどうという比較なんてできませんが。
萬斎さんの舞は、いつ観てもキレがありますね。
跳んで舞台に下りるときに「ドンッ」と大きな音を立てることがあるんですね。
これは舞の時に能や狂言でやる技だと思うんですけど。
これもさらっとやってるけど、実際難しいんだろうなと思いました。
裕基くんだったら「トンッ」って感じになるんだろうな、とか(笑)

どの曲も初めてだったのですが、
特に寝音曲がとてもおもしろかったです。
今年は狂言控えようかなと思ってたけど、
やっぱりいっぱい行こうと思います!

 
能楽堂に行く前に、新宿御苑でお花見をしていきました。
たくさん人がいましたよ。アルコール持込不可なんだけど、一応。
みんな飲んでました(笑)
東京の桜は今が満開です。美しかったです。
新宿御苑って実は初めて行ったんだけど、いいね、あそこ。
やっぱりお庭だから、ちゃんと手入れされているから、桜の形が美しい。
しかも、あんなに立派な温室も、入園料だけで入れるというのもすごい。
混んでたけどおもしろかったよ。
ミッキーマウスノキ、とかあるの。
命名者だれ?って感じでしょ?で、よくその名前が採用されましたね?って。
そんなネーミングの木、いっぱいあった(笑)
レモンが全然レモンっぽくなくて、
見る人見る人みんな「これレモン?みかんっぽい」と言ってました。
私ももちろん言いました。
ちゃんとレモンだって主張してるのに、こんなにレモンであることを疑われるレモンは
きっと新宿御苑のレモンだけだと思います。

春がきました。

観る!

2006年10月19日 狂言 コメント (2)
万作を観る会@国立能楽堂

小舞:住吉
野村万作
地謡・竹山悠樹 野村萬斎 深田博治 高野和憲

狂言:萩大名
大名・石田幸雄 太郎冠者・月崎晴夫 亭主・深田博治 後見・岡聡史

狂言:柑子
太郎冠者・野村万作 主・野村萬斎 後見・野村良乍

語:奈須与市語
野村万作  後見・深田博治

狂言:二人袴
親・野村萬斎 舅・石田幸雄 太郎冠者・高野和憲 聟・野村遼太 後見・竹山悠樹

 
 
久しぶりの正面席です。国立能楽堂は初めて。
といっても、12列だったので、最後列でしたけど。
でも、やっぱり。正面席って違いますね。
奥行きがすごくある。
橋掛かりの一の松、二の松、三の松、あれがあんなに効果的だって、
脇正面の多かった私は気付けなかった。
日本で1番長い橋掛かり、それを実感できました。

あとね、今回のパンフレットは、素敵でした。デザインも。
お金掛けてるのねって感じ(笑)
だけど、万作さんの、柑子の時の表情を観ることができるので
本当に素敵なパンフレットです。

だって、柑子、私は初めて観たんだけど、
これがねー、みかんの滴りが見えたくらい、豊かな表情だったんですよ、万作さん。
さすがですね。うん。

萩大名は、本当なら万之介さんが大名だったんですけど、
体調不良のため休演ということで、配役が石田さんに替りました。
大丈夫でしょうか、万之介さん・・・
萩大名は前にも観たことがあるけど、私、この狂言好きですね。
情景が目に浮かぶから。白い砂と、赤い萩とのあるお庭が。

奈須与市語って、扇の的の話ですよね?
私、これ、古文でやったのをすっごく覚えているんですよ。
ひょうふいっと、っていう表現されてたの。
万作さんの持つ、独特のぴりりとした空気が顕著ですね、これって。
萬斎さんの奈須与市語も観てみたいな。

二人袴って、よく観ます。1番観ている狂言かもしれない。
おもしろかったですよ、今回もあいかわらず。
話はわかってるんだけど、おもしろい。
遼太くんが初の聟なんだって。萬斎さんが初の親なんだって。
若々しい聟でした。だって高校1年生だって。

今回は狂言のいろんなところを垣間見ることができたような気がします。
とてもおもしろかったです。
万作さんの独特な空気を楽しむこともできました。
それに、まだまだ観たい狂言はいっぱいあるなぁとも思ったし、
お勉強するべきこともたくさんあるなぁと思いました。

本当は、ござる乃座、観たかったんだけど、
気付いた時にはチケット売り切れてました(笑)
今年はあと1回かな〜。

納涼!

2006年9月5日 狂言
久しぶりの狂言鑑賞。
今年は2ヶ月に1回程度にしようと決めたからね。
けどこれ、チケットはかなり前に手に入れてたんだよね。
プレオーダーで買ったの。の割には平凡な席だったけど(笑)
 
 
 

納涼 茂山狂言祭
第二日 夜公演@国立能楽堂
 
お話 茂山千之丞

狂言:粟田口
大名・茂山千五郎 太郎冠者・茂山茂 すっぱ・茂山七五三 後見・増田浩紀

狂言:狐塚
主・茂山正邦 太郎冠者・茂山茂 次郎冠者・茂山童司 後見・島田洋海

狂言:六地蔵
田舎者・茂山あきら すっぱ・茂山千三郎 その仲間・茂山千之丞 その仲間・丸石やすし
後見・増田浩紀 島田洋海

千之丞さんのお話はおもしろい。
もっとも、私は茂山家単独の狂言を観たのがこれで2回目とかだし、
前回も千之丞さんがお話してくださったと思ったので、
他の人のお話を聴いたことがないだけなんだけど。
ただ、千之丞さんの話の笑いというのは、ギャグで笑わそうとか、
その類ではないので、ほほえましくお上品な笑いな気がする。

納涼狂言は、昨日の夜、今日の昼、そして夜と、東京で3公演やってるんだけど、
今日の夜の回だけ、千作さん出ないんだよね。残念。

どれも親しみやすく、おもしろい狂言でした。
茂さんが、粟田口にでて、次の狐塚にも出て、大変だなぁなんて思ってました。
茂山家の狂言は、何度も言いますけど、舞台と客席との距離が近いですね、なんとなく。
私は山本東次郎さんの狂言などを観たことがないので、
比較するならば野村家としか比べようがないのですが、
役者が揃っている、のは茂山さんのほうでしょうね。
いや、野村さんだって十分なんだけど(笑)
その場の空気や雰囲気によって、狂言も変わってるんだなというのが
よくわかるのが茂山さんです。
まぁ今回は納涼狂言「祭」なので、そこらの意味も汲んでのことかもしれませんが。

1番おもしろかったのは六地蔵です。
野村さんの六地蔵は観たことあったんだけど、
すごいですね、この六地蔵。だって、ラストは大爆笑ですよ。
千三郎さん、カンチョーしてたもんね(笑)
で、かわいい味だすのが丸石さん。千之丞さんと丸石さんが出てきただけで
笑いが起ってましたし。

どの作品も、ちょいちょいアドリブ入れてるのかなぁと思いながら観てました。
大いに楽しませていただきましたぁ!

今回は、男性客がいつもより多いなと思いました。
やっぱり、野村さんだと、狂言界のスター萬斎さんがいるから
女性客のほうが多くなるのかな。

国立能楽堂の座席が変わってました。
前の座席についている、あの液晶画面みたいのはなにに使われるんだろう・・・
だってここは能楽堂だしなぁ。もしかして字幕?とか思ったり。
国立能楽堂の橋掛かりが日本で1番長い橋掛かりなんですね。
って千之丞さんが言ってました。へぇ〜。
7/2(日)@矢来能楽堂

狂言:蚊相撲
大名・高野和憲 太郎冠者・石田幸雄 蚊の精・野村万作 後見・時田光洋

素囃子:羯鼓(かっこ)
笛・成田寛人 小鼓・森澤勇司 大鼓・柿原光博

狂言:節分
鬼・深田博治 女・野村萬斎 後見・野村万作

狂言:棒縛
太郎冠者・月崎晴夫 次郎冠者・竹山悠樹 主・野村万之介 後見・破石晋照

この「ざゞん座」という公演は
和泉流の同人さんたちのための公演、というコンセプトだそうです。
なので↑を見るとわかるのですが、メインの大名や鬼を同人さんたちがやっています。
ざゞん座が毎年恒例になりますように的な挨拶を兼ねた解説が、最初に月崎さんからありました。

矢来能楽堂には初めて行きました。
下調べして行ってたから、古い能楽堂だとは思っていたんだけど、
雰囲気のある能楽堂でした。
だって座敷だもん、私の席。靴脱いで狂言観ちゃったよ。

ただ、私は、ざゞん座のコンセプトと矢来能楽堂の雰囲気は合っているなぁと思いました。
これも演出の一つだとしたら、なんとも粋な計らいです。

月崎さんが「万作先生の蚊の精はかなり、かなり貴重ですよ」と言っていたけれど、
そうだろうなぁ、と観てて思いました。
私、蚊相撲を観るのは初めてだったんですけど、
万作さんのあんなコミカルな狂言は、たぶんそうお目にはかかれないのではないでしょうか。

蚊相撲、おもしろいねぇ。わかりやすいし。
現代狂言ですよ、と言われたら「だろうな〜」って思っちゃうようなコミカルさ。
昔の人はすごいね。あれで蚊を表現しちゃうんだから。完全に蚊でしたよ、モスキート。

節分もおもしろかった。これ、鬼やる人、かなり大変ね。
息遣いが聞こえてきたもん。私、そんなに前じゃなかったのに。
謡いは長いわ、動きは激しいわ、さらには面でしょ?すごいよ、あれ。
鬼がわかりやすいからさ。装束もゴテゴテだし、面はしてるし、動きは大きいし。
だからこれも狂言初めて!って人にもわかりやすい狂言だと思う。

そして、これはもうお馴染み、というべきでしょうか、棒縛。
私の中では、狂言といえば、これか附子か、かと思っています。
学校で観る狂言でやるといえば、って感じ。
わかりやすいからね。で、くだらないことに一生懸命なことがおもしろいのよね。
間の抜けた太郎冠者と次郎冠者がさいいのよねー。おとぼけ、ぼけぼけって感じで。

同人といっても、普段の舞台で何度もお目にかかってきている人たちです。
ここに来るまで、どれだけの鍛錬を積んでこられたんでしょうか。
とても楽しく観させていただきました。

それにしても、万作さんと萬斎さんの、なんなんですかね、あの空気というか温度というか。
師匠ですからね、違って当然ですけど、やっぱりどこか違うんですね。
それこそ、凛とした空気を身に纏っているというか。素敵。

矢来能楽堂は神楽坂の駅の近くで、
私、神楽坂なんか、行くの初めてでさ。
しかも、本当なら電車に乗ってる時間に起きちゃったんです、朝。
オール明けで2度寝しちゃったんだなー。焦ったよ、これ。間にあわなーい!!って
狂言のあとコンパだってのに、まぁとりあえずで支度してとりあえずで飛び出して。
チケットもまだ持ってないの。私、ぴあでとって、当日発券すること多いもので。
とにかく急いで神楽坂に行って。
近くのファミマで発券できるんだけど、これがまたこういう時に限ってファミマがないの。
見つけるまでにセブンは3軒も通ったってのにさ。
相当探したよ、ファミマ。おかげで能楽堂に着いたとき、汗だらだら。
で、エアコンの効く能楽堂じゃないから。しばらく汗だらだら。
ファミマでペットのお茶買ったんだけど、雨が降ってて湿気が多いものだから
周りが水滴だらけで手もぬれちゃうし。けっこう散々(笑)

いつものことながら、狂言ってけっこう着物で来られてる人、いるのよね。
私の隣の人も着物だった。この悪天候の中。
私もいつか、小紋でも着て狂言観に行きたいの。
5/5(祝)@東大寺大仏殿前
第一回 世界遺産劇場

狂言:二人袴
親・野村万作 舅・野村万之介 太郎冠者・月崎晴夫 聟・竹山悠樹 後見・時田光洋

三番叟
三番叟・野村萬斎 千歳・深田博治
大鼓・河村大 脇鼓・上田敦史 小鼓頭取・大倉源次郎 脇小鼓・荒木健作 笛・杉市和
後見・石田幸雄 月崎晴夫

開演時刻に間に合わなかった私は(笑)
萬斎さんの解説も全部は聞けず、惜しいことをしました。
今回、東大寺の大仏殿前に舞台が特設され、
夜空の下、大仏様に見守られながらの狂言となっておりました。
あの荘厳な大仏殿をバックに観る狂言。なかなかない機会を味わうことができて、
本当に行ってよかったと思いました。
狂言を観にわざわざ奈良まで、なんですけど、ぶっちゃけ。
それを考えても行ってよかったです、ほんと。
普段よりも、キャパが大きいし、舞台からは遠いので、
表情まで読み取ることができなかったけれど、それでもやはりです。
20時になると鐘の音が聞こえてきて。こんな乙な狂言、なかなかないです。
いっそ、鐘の音がやってればよかったかな(笑)

二人袴は、観るのは3度目です。
茂山さんで2度、野村さんは初見。
春に観た時(茂山さん)聟が逸平さんで、宗彦さんがそのまま「兄」の役でしたが、
今回は万作さんが親でした。
私はわりと、ぴりりとした万作さんを観ることが多かったので、
なんともテンポのよい掛け合いはなかなかに新鮮でした。
お話の筋は同じなのですが、やはりお家によってけっこう違うんですね。
二人袴、この間観たばかりだったので、その辺りを発見できたのもおもしろかったです。

三番叟は、狂言というか舞ですね。
観てみたかったんだ、三番叟。
素敵でしたよ。キレのある萬斎さんの三番叟。
東大寺ということもあるのかもしれませんが、
幽玄な世界に、引き込まれてしまい、
なんだか無心に見入ってしまいました。
三番叟になると、二人袴の時よりももっと照明が落とされたんです。
一応、舞台には短いながらも橋掛かりがあるのですが、
千歳と三番叟は、橋掛かりから登場ではなかったんです。
そそそそーっと、大仏殿の扉が開き、そこから光と共に登場です。
そしてまた大仏殿の中へと消えてゆきました。なんとも幻想的。
豊穣を願う意味も、この三番叟には込められているそうですが、
まさに神のような存在に見えました。

 
おじいちゃんに、東大寺で狂言を観てきた話をしたんです。
珍しい子だなぁ〜と言われますけどね(笑)
自分は狂言は何度も観ようとは思わなかったけどなーと。
でも、「能の役者は、足の親指があがってるんだ」と、教えてくれました。
興味がないのに知ってるんです。って、つまり興味がないわけじゃないんですよね。
「棒縛りがおもしろいなー」「釣狐は1回観てみたいなー」って。
さすがだな、おじいちゃん。
おばあちゃんには高尚な趣味だねぇと感心されてしまいましたが、
実際、そんな立派なものじゃありません、私の狂言鑑賞は(笑)

ざざんざ

2006年4月15日 狂言
春狂言@国立能楽堂

狂言:樋の酒
主人・茂山宗彦 太郎冠者・茂山逸平 次郎冠者・茂山童司 後見・丸石やすし

狂言:月見座頭
座頭:茂山千作 上京の男・茂山千三郎 後見・茂山あきら

狂言:花折
住持・茂山千之丞 新発意・茂山七五三 
花見の衆・茂山あきら 茂山宗彦 茂山逸平 茂山童司 丸石やすし
後見・島田洋海 増田浩紀

まず、千之丞さんの解説がありました。
茂山さんの狂言は、必ずお話があるみたいですね。
私のような初心者には、この解説というのが非常にありがたい。
狂言をより楽しめるポイントです。また楽しく話してくれるし。

樋の酒という演目は、茂山家では明治以降に禁止された20演目のうちの1つだそうで、
茂山家のこれは大変に珍しいそうだ。
話としては、棒縛りにとても似ています。
逸平さんと童司さんとが、舞うところがあるんですが。
設定としては、それぞれ別の蔵に閉じ込められているのですが、
舞台では2人が一緒に舞っているので。
それがとても愉しげでばっちり合っていて(当たり前か)
観ているこっちが愉快になりました。
国立能楽堂って、正面席の後ろ、GBにあたるところ。
あそこに鏡が張ってあるのね。今日は私、脇正面だったので気付いたんだけど。
っていうか、能楽堂ってどこも張ってあるのかな?
そこに舞っている逸平さんと童司さんが映ってました。
もしかして、本人もあの鏡で確認してたりするのかな。

月見座頭はね。さすがは千作さんです。
終わったあと、私の後ろのほうの座席の人が
「本当に虫の音が聞こえるよねー!」と言っていたけど
本当にそうなんですよ。こっちはきりぎりす、こっちは鈴虫、と
虫の音に耳を傾けているんですけど、私にもそれが聞こえてくるかのようで。
下京に住む座頭の千作さんは、上京に住む男の千三郎さんに最後、喧嘩をふっかけられて、
倒されてしまうんです。その時、千作さんの醸し出す哀しげな空気。
思わず涙が浮かんでしまいました。
私、脇正面の一番橋掛かりに近い席だったんです。
だから、一曲終えて、まずは千三郎さんが引いていって、
それから、座頭の千作さんが帰って行ったんですけど、
橋掛かりを歩いている時の息遣いまで聞こえてきてね。
一曲やり通すとそれは当然、かなりエネルギー使うんでしょうね。
その呼吸の1つまでもが座頭さんとしての呼吸に聞こえてきて、
なんか込み上げてきそうになりました。この人、やっぱすごいよ。

花折は、人数も多く、お花見がテーマの番組だし、とても愉しく軽快でした。
で、びっくりしたのが七五三さんの第一声。
七五三さんと宗彦さんの声がそっくりなのね。親子だから当たり前だけど。顔も似てるし。
おんなじ声してるから、あら〜!ってびっくりしました。
なんでだろう、私、七五三さんの狂言を観るのはたぶん初めてだと思うんだけど、
橋掛かりの私の横を通るときから「この人七五三さんだ」ってわかりました。

茂山家単独の狂言を観るのは今日が初めてでした。お豆腐狂言デビュー。
やっぱり全然違うんだね。野村家とは。
茂山さんのほうが、観客との距離が近いと思う。
お客さんもよく笑う。私も笑ったけどさ。
これが家によって違うところなんだろうけど、
茂山さんの狂言は、能楽堂全体の空気があったかい。
野村さんのほうが、ぴりっとしてるんだよね。

初心者の私が言うのもなんだけど、
たぶん、狂言を初めて観る人って、
茂山さんよりは野村さんから入る人のほうが多いと思う。特に関東では。
狂言っておおいに笑うものだけど、どこか「これって笑っていい?んだよね?」
みたいな空気があるような気がしました。
茂山さんの狂言を観る人は、多少なりとも狂言を観ている人なんだろうな。
前にも書いたけど、狂言好きな人はきっと茂山さんのほうが好きなんだと思う。
だから、笑いどころを知っているし、笑い方も知っているのかなと。
って、私、野村家も大好きですよ。和泉流のが観てるし。

茂山さんのほうが「家」っていう印象が強いですね。
今日の花折も、七五三さんがいて宗彦さんがいて逸平さんがいて、
あきらさんがいて童司さんがいて、って。
あきらさんと童司さんもそっくりね。顔つきが。親子だから当たり前だけど。

東京では9月に、茂山さんの納涼狂言があるんだけど、
そのフライヤーを今日もらって、リクエストの演目が決定してました。
5/1にチケットは一般発売なんだけど、先行して今日、会場で売ってました。
けど、私、このチケットすでに入手済みだもーん。
実はこの9月の狂言まで、現在のところ未定なので、
6月くらいにまた、狂言を観に行こうと。チケットとるぞーと思っています。

千之丞さんが、「今日はどれも小舞がありますが、終わりはどれも
『ざざんざ 浜松の音は ざざんざ』ですので、
これが聞こえたらつまらない小舞も終わりだと思ってくださいね」と冗談言ってましたが(笑)
とても短い謡ですよ、と言ってましたが、なんともリズミカルだったので、
ちゃーんと覚えてきました!
狂言劇場 その参@世田谷パブリックシアター

行って来ました。今日の公演はBプロです。
狂言劇場はAプロとBプロがあって、
それぞれで演目が違うのです。

能楽囃子
笛・松田弘之 小鼓・観世新九郎 大鼓・安福光雄 太鼓・金春國和

狂言:瓜盗人
盗人・石田幸雄 畑主・高野和憲

狂言:悪太郎
悪太郎・野村萬斎 伯父・野村万之介 僧・野村万作

席はI列14番というところで、
「ってことは前から9列目。まぁまぁかな」と思って行ったんです。
が、舞台が前に突き出していたのでE列までは席がなく、
つまり私、前から4列目だったんですよー。しかもほぼ真ん中。
1番前に当たる、F列は逆に舞台の床と目線が同じくらいになってそうで、
私のとこあたりが一番観やすかったかと。ラッキー♪

私は、囃子もけっこう好きなんですよ。
小鼓とかさ、あれって、湿度に敏感な楽器なんだよね、たしか。
だから奏者は途中途中、よく自分の息で皮に湿度を与えてたりするんです。
…って知ったかです。確かそうだったと思います。すみません。
そういうの観てたりとか、大鼓でどうしてあんな音が出せるんだろ?とか。
けど、私の隣と斜め前のばばぁが寝てるの、いきなり。
お前ら、なにしに来やがった??って感じ。
だいたい、前から3列目、4列目に座ってるんですよ?
いくら囃子といえども、それなりに音はしてますよ。なんで寝られるかな?

瓜盗人では、橋掛かりが2本でした。
橋掛かりっていうのは、狂言の役者さんたりが出てくるとこから舞台を結ぶ
その名の通り、橋みたいなとこのことです。
普通、能舞台では橋掛かりはもちろん1つだけど、
この狂言劇場では、橋掛かりが3つあるんです。

石田さんの顔から、汗が滴り落ちてました。
暑いんだろうね、舞台の上って。
けど、狂言観てると本当においしそうな瓜がそこにはあったし、
垣根はズカズカと切り倒されてるし。
イマジネーションだね、狂言は。

悪太郎は、観るまですっかり「武悪」と勘違いしてて、
「あれ?これ観たことないなぁ」とか思ってました、私。
悪太郎で、3つの橋掛かりが登場するんです。
瓜盗人よりも、悪太郎のほうが、この橋掛かりが巧く使われていたように思います。
でもね。橋掛かりを3つにするという発想。
これって、私みたいな素人からすると、想像がそう難くないものだと思うんですよ。
登場人物ごとに登場口が違うってことだから。
お芝居で言うなら、この人は上座から、この人は下座から登場する、ってのと同じだから。
けど、狂言役者である萬斎さんたちがこれを思い浮かぶというのは、
なかなかすごいなと、観ていたら思いました。

悪太郎、おもしろかったー。
なんか、いっつも絶賛してるみたいだけど、
やっぱり萬斎さんがすごいよ。
自分でも不思議だったけどね、自然と吸い込まれるんだよね。
で、今日は今までで一番近いとこで観てたと思うから。
萬斎さんまで3mってとこかな(笑)
だから余計にかもしれないけど、すーーーっと自分の体が舞台に吸い込まれるというか、
そういう感覚があったんですよ。

橋掛かりの一番の見せ所は、僧である万作さんの登場ですかね。
あれはかなり素敵だった。幻想的というか。
ま、そこまで幻想的にする必要があるのかどうかは別として。
そこから萬斎さんと万作さんとの掛け合いもおもしろかったですね。

橋掛かりと一緒に、この舞台では光と闇(黒)が非常に効果的で。現代演劇にも通ずるようなものがあります。
そこが狂言と融合してるとこがまたおもしろかった。
行ってよかったー。実はね、これ、ついこないだまでうっかり忘れてたくらい、
そういえば、狂言だー、くらいの感覚でしかなかったんだ。
けどおもしろかった。ほんと、行ってよかった。

せっかく三軒茶屋まで来たので、
行ってみたかった濱田屋さんでパンも買いました。
狂言が19時だったから、どうしたて夕方じゃないと行けなかったんだけど、
バゲットはもう売り切れちゃったみたいでした。ひじきとかもなかった。
狂言の前に、クリームパンとクロワッサンを食べたんだけど。
クロワッサンは、外はしっかりサクサクなんだよね。
けど、中はクロワッサンというより、けっこうしっかりパンでした。
おいしかったよ。けど、まだそこまでの感動でもない。
食パンも買ってきたから明日食べてみよっと。

まぁ、これからも何度か三軒茶屋は行くだろうからな。
まちがいの狂言もパブリックシアターだよね?
濱田屋さんもまた行こうっと。

久しぶりの三軒茶屋でした。
何年ぶりだろ?田園都市線沿いに住んでるわけでもないし、
用がないと行かないんだよね。まぁ、特別なにかがあるわけでもないしさ。

今年の最初。

2006年1月18日 狂言
今年の狂言初め。
で、今のところ、これから先は未定(笑)
まだ先の予定がそう立てられないのでねー。

第20回 NHK能楽鑑賞会「時どきの花・それぞれの芸〜狂言づくし〜」@国立能楽堂

狂言:二人袴
聟・茂山逸平 兄・茂山宗彦 太郎冠者・茂山童司 舅・茂山七五三
笛・一噌隆之 小鼓・鵜澤洋太郎 大鼓・亀井広忠 太鼓・梶谷英樹
後見・松本薫

狂言:武悪
武悪・野村又三郎 太郎冠者・野村小三郎 主・野村万作 後見・奥津健太郎

素囃子:大小楽
笛・一噌隆之 小鼓・鵜澤洋太郎 大鼓・亀井広忠

狂言:金岡 大納言
金岡・野村萬斎 妻・石田幸雄 
笛・一噌隆之 小鼓・鵜澤洋太郎 大鼓・亀井広忠
地謡・野村万作 深田博治 高野和憲 月崎晴夫
後見・野村万之介 野村良乍

というわけで、今日はNHKの放送の収録ということもあってか、
大蔵流、和泉流が観られるお得な演目でした。
茂山さんの狂言を観るのは実はまだ2回目で
前に観たのは平安神宮でも京都薪能。
その時の演目も二人袴でした。舅が千作さんだったの。
けどその時はまだ役者さんまで把握していなくって、
それが千作さんだったって知ったのは後の話。
それに薪能だから、舞台まで遠かったしね。

だから、茂山家の狂言の雰囲気を初めて知ったんですけど、
まただいぶ違いますねー。
茂山家の“お豆腐狂言”は庶民的だとはよく聞きますけど、
確かに、あったかみがあってアットホームな感じ。
とってもおもしろかった!年末に「来年は茂山家の狂言も観に行こう」とおもったけど、
やっぱりいっぱい観に行こう!と思いました。
逸平さんが同じ年なので個人的にはこっそり応援してるんです。

武悪は和泉流だったんですけど、
はて?野村又三郎??と思ったら、
又三郎さん、小三郎さんは名古屋を拠点にされているお家らしいです。
通りで見たことないはずのお方。
小三郎さんと又三郎さんは親子だそうで、
武悪が出てきたときは、私の想像していた武悪よりも年が上でちょっとびっくりしたけど(笑)
でもやはり、「ここに川がある。鮒がたくさんいる」(っていうセリフじゃないですけど)
と言われると、不思議と川のせせらぎが聞こえてきて、
鮒の泳ぐ川が見えてくるんですよ、そこに。ね、おもしろいものです。

囃子をはさんで、最後に金岡。
これは和泉流だけにある曲だそうで、リーフレットに「習い物」って書いてありました。
となると、習い物がどういう曲なのか、よくわかってないのですが、
なんか難しい曲なのかなーとちょっと肩肘張ってたと思うんだけど、
ところが普通にケラケラと笑える曲でした。
金岡は謡いのある曲で、それが習い物っていうのかな?
金岡の萬斎さん、妻の石田幸雄さんはもちろん、
地謡の方々も「あー、いつもの…」って思える程度に和泉流の狂言は観ているんだなと
自分で思いました。

絵師である金岡は妻がありながらも、若くて美人な女性に心惹かれてしまい、
家を空けて京を歩き回っているんですけど、
昔も今も、人間なんて変わらないものなんだなーって思いました。

今日は、母と一緒に行ったんですけど、
「若い人が多いね」と母は言っていました。
自分が若い頃は、狂言を観ようなんて人はあまりいなかった、と。
確かに萬斎さんの曾祖父さんの時代は狂言不遇の時代だったらしく、
きっとメジャーになってきたのは万作さんや今の萬斎さんの時代だと思うので、
それも当然なのかもしれないね、なんて。
それにしても、萬斎さんの存在は大きいと思うんです。
私だって、萬斎さんの存在がなかったら、狂言を観に行ったりしていなかったかもしれない。
私の会社の人にも狂言を観たっていうと、「野村萬斎なら観てみたい」って言ってたし。
だからというわけでもないし、私は萬斎さんも野村家も大好きだけど、
狂言好きな人は茂山家のほうが好きなんじゃないだろうかともちょこっと思いました。
って、比較できないんだけどね。
同じ狂言とはいえ、脚色や空気が違ってるから。別物です。

いつか、野村家の二人袴を観てみたいと思いました。
それから、やっぱり能楽堂で観る狂言はいいね。
なかなか正面席は取れないけど、今度は正面席をがんばって取ろうと思います。

六地蔵

2005年12月21日 狂言
今年の狂言見納めである。

野村萬斎・狂言の夕べ@調布グリーンホール 大ホール
狂言:萩大名  大名・野村万之介 太郎冠者・月崎春夫 亭主・深田博治
狂言:六地蔵  すっぱ・野村萬斎 田舎者・高野和憲 すっぱ仲間・月崎春夫、深田博治、時田光洋

会場に行く前に、私の後ろにいたおばさんが
「今年もたくさん狂言観たわね〜」なんて言っていたけれど、
思えば私もいろいろと観たもんだ。
能楽堂にも何回か行ったし。
来年もいっぱい行こうっと♪

さて今日も解説してくれだけれど、
今日の解説は高野さんだった。
さすがにこれだけ観ていると、役者さんの顔も覚えてくる。
あれこれと実際に演じながら解説いただいた。
やはり、こうして解説してもらうと、わかりやすい。
狂言は、解説なしで観てもわかるけど、あるとないとじゃやっぱりね。

さて、萩大名。
今回の萩大名、六地蔵とも、観てみたかったんだ。
で、たぶん、初心者にはわかりやすい狂言2曲だと思う。
萩大名は、ほんと、現代のコントでも見ているかのようなテンポと動きで
600年前と日本人ってほとんど同じなんだね、なんて思ってしまったり。
いつもは憎めないキャラの太郎冠者だけど、
この萩大名の場合は、大名がおとぼけキャラで、太郎冠者がしっかり見えます。
大名のおとぼけぶりがとってもおもしろかった!

今回、大名は万之介さんがやっているわけですけど、
この大名を例えば萬斎さんがやったら。
それはそれでまたまったく違う「萩大名」になるわけで。
でも、万之介さんのほうがこれは合ってるだろうね。

六地蔵はますますのドタバタコメディって感じで、
これは現代に通ずるのもさることながら、きっと海外でてもこういうコントはあると思うし、
外国の方が見てもわかる曲なんじゃないでしょうか。

萬斎さんは、やっぱりなんでああも違うんですかね。
って、普通に狂言してるんですけど。
他の役者さんとはどこか違うものがある。
きっと姿勢とか声音とかだと思うんだけど。
他の役者さんだって、相当に鍛錬積んでいる方ばかりです。
けど萬斎さんはやはり1人違うと思う・・・

今回は珍しく(笑)友達と行ったんだけど、
その友達は「想像するっていうのがおもしろいね」と。
狂言だと、「都へ行く」と言って舞台を1周くるりと歩けば
そこはもう都なわけで。
場面の展開を言ってくれるから、その背景を自分で想像してくださいって
解説の時も説明してくれるんだけどね。
けどこれが不思議なもので、
例えば萩大名は、萩の有名なお庭を見に行くんだけど、
やっぱりそこには白い砂の広がったステキなお庭が見えるわけなんです。

来年はもっと茂山さんの狂言も観にいけたらいいな〜♪

靭猿

2005年12月8日 狂言
はいはい、昨日ですね、12/7。
先週に続いての狂言鑑賞。

野村万作・萬斎「狂言の夕べ」@文京シビックホール大ホール
狂言:附子  太郎冠者・野村万之介 主・竹山悠樹 次郎冠者・石田幸雄
狂言:靭猿  大名・野村万作 猿曳・野村萬斎 太郎冠者・深田博治 子猿・野村裕基

狂言の前に、萬斎さんの解説もありました。

まず、会場の文京シビックホール。
この公演があることを知って文京シビックホールのサイトを見てみたのですが、
これがね〜案外古めかしくて。
って、今見てみたらリニューアルされてるけど。
前はこんな立派な感じが伝わってくるようなサイトじゃなかったのよ。
で、わりと古めかしいホールなのかなぁ〜と思ってたんだけど、こないだ東京ドームに行った時に、このシビックホールをみて、
「けっこう近代的できれいなとこなんじゃ〜ん」と知ったんです。
で、実際、地下鉄の駅からも直結だし、きれいだし、いいホールでしたよ。
そもそも、今回のこの公演、このホールの5周年記念公演なんだtって。まだ新しいんだね。
それに、ここって文京区の役所もあるんだね。

ただ、こういうホールだからか、キャパが多いだからか、
開演時刻の19時だっていうのに、ワイワイザワザワ。
能楽堂で観る時にこの騒がしさがありえないので、とっても気になった。
・・・んだけど。
萬斎さんの解説でね、「わかろうとせずに、観たまま感じてください」って。
そうおっしゃったんですけど。
その言葉を聴いたら、なんだか私、せせこましいなと思って反省しました。
自分も十分に素人のくせに、知ったかしちゃって。

今回の附子、靭猿、どちらもわりとわかりやすい狂言だと思うんです、私は。
けど、萬斎さんの解説があって尚わかりやすく、入りやすくなりました。
靭猿の最後の「俵を並べて面々に」という節を一緒に謡いました。

さて、附子。これは狂言の中でも最もポピュラーとも言える演目なのではないでしょうか。
主人に留守番を頼まれる太郎冠者と次郎冠者。主人は壷をとりだし、
「この中には猛毒が入っているので決して近寄ってはいけない」と言って出て行く。
見てはいけないと言われれば見たくなるのが人の常、覗くと中味は砂糖だった。
それを全て食べてしまった太郎冠者と次郎冠者。主人の大切な掛軸を破り、天目茶碗を割り
帰ってきた主人に「掛軸と茶碗を壊したので、毒を食べて死のうと思った」と言い訳する。

きっと誰しも1度は聞いたことのある話ですよね。
私も、確か、遠い記憶によればですが、小学校の時に学校で見た狂言では、
演目はこの附子だったような気がします。
私のような狂言素人には、附子みたいな、太郎冠者、次郎冠者のでてくる演目は
入りやすい演目であると感じています。
掛け合いがうまいんだ。って、決まってるセリフなんだけどさ。
自分の代弁者というとオーバーかもしれないけれど、
自分だったらできないよ!ということを颯爽とやってのける太郎冠者にも感情移入できます。

プロフィールを読んで知ったけど、主の竹山さん、私より1つ年下ですよ・・・
全然見えませんけど。というか、年上に見えます。すばらしい貫禄。

靭猿。今日の私のメインイベントは靭猿。
観てみたかったんだ、やっぱり。
いつだかのNHKスペシャルで、子猿であり、万作さんの孫であり、萬斎さんの息子である
裕基くんが初舞台を踏むまでのドキュメントがやっていたことがある。
狂言には「猿に始まり狐に終わる」という言葉があるそうで、
野村家では、靭猿の子猿で初舞台を踏み、釣狐の狐で集大成というか、
そういう習慣があるそうです。
だから萬斎さんも、初舞台は靭猿の子猿。

萬斎さんが解説の時に「子猿をうちの愚息がやっていますが」とお話してくれました。
親子三代でこうして演ずることができるのもおめでたくありがたいと。

猿の皮が欲しいから猿を譲ってくれという大名の強引な要求に、
猿曳きはやむなく猿を殺そうとするが、無邪気な猿のいじらしさに殺しかね
大名も哀れに思って命を助ける。
喜んだ猿曳きが猿唄を謡い、猿を舞わせると、大名も猿のしぐさを真似て興じ、
褒美を与える。緊迫したやりとりから愁嘆、大らかな笑いへと発展する劇的な構成を持つ曲。

と以上は「萬斎でござる」からほぼ引用。
私は、親子三代で演じているという背景を知っているからというのもあってですが、
猿曳きが猿をかばう場面とかさ、本当に子を守る親の姿って感じで、
涙出そうになっちゃったもんね。(ホント)
大名が猿と一緒に舞うところは実に滑稽で笑えたし。

ここが能楽堂じゃないからなのかどうなのかは定かではないけれど、
子猿が登場してきたとき、会場から拍手が起こったの。これもなかなか不思議な感じでした。
その子猿のかわいさも手伝って、会場は大盛り上がり。
今までにはなかった空気になっていました。

万作さんは、当然だけどやはり巧い。
萬斎さんは、やっぱり思ったけれど、今が一番脂がのっているというか、
一番、いろんな役を演ずることができる時期なんだろうなーというのを
なんとなく感じます。
靭猿、いいですね、大好きです。
猿で始まる、納得できる演目です。

私はきっとこの先、
もしかしたら万作や万蔵を襲名するかもしれない裕基くんが
子猿から太郎冠者をやったり、猿曳きになって、大名になっていく様子を観ることができるんだろう。
裕基くんが猿曳きをやっている頃は、萬斎さんが大名なんだろう


靭猿は、裕基くんが子猿のうちにもう1回観たいなぁ〜。

こういうホールで狂言をやる時は仕方のないことだけれど、
橋掛かりがまぁ短いのなんの。
狂言師の方は、何度となく学校やらホールやら、海外でも公演しているから、
こういう舞台にも馴れているんだろうけど、やりにくくないのかな〜
なんて思ってしまいました。

次に観る予定の狂言もホールなんだよね。
今日はけっこう忙しい日だった。
まず、3ヶ月ぶりに、耳鼻科の検診。
聴力検査をやって、そのあと先生に診察してもらって
「うん。まったく問題ないね。いいね。」と言われるも
やはりチューブはまだ取れず。
次はまた3ヶ月後の2月と言われたけれど、その時どうなるか予定がわからないので、
次の予約は1月にしてもらった。
「それ以降の予定はじゃその時に」と言われた、ってことは
1月にもたぶんチューブはとれない。
で、1月の3ヵ月後となると4月。本当に1年、チューブ入れたままってことになりそうだわ。

それから一旦うちに戻ってから、すぐにでかけて中学の時の友達の家に行く。
彼女は二十歳の時に結婚して、今はダンナさんの両親と二世帯住宅で暮らしてて、
来年小学校にあがる子供もいる。
かなりひさしぶりに会いにいった。
行く前は、話が続くか心配だったけど。環境が全然違うから。
でもそれなりに話は続くもので、ママ話をたっぷり聞いてきた。
あとは、子供と遊んだりとか。
子供を育てるの、楽しいって言ってた。すごいなー。
私はめんどくさって思ったもん。
さすがに、そこらの子供を見る時みたいに「うぜー!」とかは思わなかったけど。
帰るとき、駅まで車で送ってもらったんだけど
私が「じゃそろそろ行くわ」って言ってからうちを出るまでに
40分かかったもん。
子供が眠かったから機嫌悪くてさ。行きたくない、けどお留守番はイヤだとか
なんだかが欲しいからコンビニに寄れだかスーパーに寄れだか言ってて。
よかった、帰るって早めに言っておいて。
母上は大変ですよ。ほんとに。よくやってると思った。

さ、そして。
今日は久しぶりに狂言鑑賞。
34th「狂言ござる乃座」公演@国立能楽堂。
狂言:無布施経  僧・野村萬斎 施主・野村万之介
舞囃子(喜多流):頼政  塩津哲生 大鼓・國川純 小鼓・曽和正博 笛・松田弘之
 地謡・井上真也 大島輝久 佐々木多門 香川靖嗣 狩野了一
狂言:通円  通円・野村萬斎 東国の僧・高野和憲 所の者・竹山悠樹
 地謡・石田幸雄 野村万作 野村万之介 月崎晴夫

行って来ました。
発売日に買ったら、中正面しかなかったんだけど、
それからしばらくしてぴあを見たら、どうやら追加席があったらしく、
正面も売っていて悔しい思いをしたけど(笑)
脇正面でも十分楽しめました。そんなにいい席ではなかったんだけど。
脇正面は脇正面の広がりがありますね。舞台全体を見るには脇正面が一番見安いかも。

無布施経。萬斎さんの著書「萬斎でござる」を見ると☆マークがついているので
やや上級者向き、になっているけど、私でもかなり理解できたので
初心者の人でも楽しめるものかと。
って言っても、私も当然ながら、一緒にもらうリーフレットのあらすじや解説を
読んでいるから理解もできるんですけどね。

これは今まで見た中でも(そんなにないけど)
かなり現代のコントチックというか、
志村けんがやっててもおかしくない感じがしました。
私もだけど、周りの人もけっこうケラケラと笑ってました。おもしろかったんです。
600年前だろうと今だろうと、本質的にはなにも変わってないんでしょうかね、人間なんて。

頼政は舞囃子といって、能のダイジェスト版とても言いましょうか、そういうものです。
だから頼政は狂言ではなく能です。
で、その後にやった通円、これは狂言なんだけど、頼政のパロディなんです。
2つを比較して観ることができたのは、おもしろさをほんと3倍くらいにしてくれたと思います。
行く前に、通円は頼政のパロディだっていう予備知識だけは入れていったんですけど、
それを知っていただけじゃこんなに楽しめなかったと思う。

頼政は能だから、私にとっては理解が難しいんだけど、
通円と一緒に観たから逆にわかりやすくなった部分はあると思う。
これも結果的に、ですけど。

通円は狂言だけど、謡のついた狂言で
私は個人的に、謡がつくとなんだかかしこまった気がしてしまい、
狂言といえども、踊りや謡がメインのもの、というイメージがありました。
けど、この通円。さすがはパロディをやっているだけあって、
かなり笑えるポイントがありましたよ。
謡=まじめ、堅いというわけじゃないんだな〜って気付くことができました。

頼政があったからこそおもしろみもわかったんだけど、
配られたリーフレットが非常によくできていて。
頼政、通円とも謡の詞章が載っていて、どこをどうパロディにしているかを
比較させてくれているんです。これのおかげですごくわかりやすかったし、
これがあったからこそ笑うことができたんだと思う。

通円は面をかぶっているから顔の表情は窺えないんだけれど
謡の持つ独特に緊迫感というか、「謡なんですよ!」みたいな中で
大まじめなのに「ウケケケケ」と面の下では笑っているんじゃないだろうか
という描写がたくさんあってそれがとてもおもしろかったです。

能楽堂はいいな、やっぱり。
おもしろかったな、今日の狂言。
いつもよりも、「わかった!」っていう部分が多かった気もするし。
今度京都に行ったら、宇治方面行こうかななんて思ったり。

次の狂言は、実は来週だ!
今度は能楽堂じゃないんだけど、観たかった「靭猿」
裕基くんがお猿さんで、たぶん萬斎さんが猿使いで、たぶん万作さんが大名だと思うんだけど。
あとは、一番メジャーともいえる「附子」また楽しみだな〜。

帰りに、品川をまわったので、ecuteに初めて寄ってみました。
案外広くないんだね、ってエキナカだもん、当然か。
でも、さすがにいいね。私がエキュートで使える時間って30分だったんだけど、
PAULのパン買って、ドーナッツプラントでイートインできて、
それでも時間は全然余裕だったもんね。
発車時刻の5分前までお茶していられるっていうのは、やはりなかなか便利です。

ドーナッツプラントは、初めて行ったんだけど。
めるっぺはここ好きみたいだけど、私にはあまりだったなぁ。
バニラ&チェリーっていうあまあまなドーナツを頼んだ私も悪いんだけどさ。
チェリーはおいしかった。けど、ここ、すべてにおいて高くないか?
確かにサイズは大きいけど、それにしても値段のわりには、味は平凡な気がして。
最初、ベーグルにしようかと思ったんだけど、
ベーグル1つ200円っていうのもちょっと高いと思うんだけど、
クリームチーズの追加で150円くらいしてさ。それはいいのかよ?なんて思ったり。
ま、そんな頻繁に利用することもないと思うからいいけど。

最近、JRのエキナカっぷりはすごいけど、
でもほんと、確かに便利だわ。うん。
最近、ものすごい勢いでBECK’Sも増えてない?

魚説法

2005年8月12日 狂言
今日は、また狂言を観てきました。
今回は狂言だけではなく、能も観ました。

静岡県の熱海にある、MOA美術館というところで、
能楽サークルという、子供も大人も能楽に触れようというイベントがあり、
それに行って来たのです。
ここの美術館は、立派な能楽堂を持っていて、
毎年8月1日、2日の薪能を始め、能楽の定期公演を行っています。

まず、小鼓方大倉流の大倉源次郎さんに能楽講座ということで、
能楽の簡単な成り立ちや背景などの公演を聞きました。
これがね、ご自分でも「これじゃ囃子上手じゃなく、話上手になってしまいますね」
なんてご冗談で言ってましたけど、本当に話が上手で飽きなかったです。
小鼓方、というだけありませいて、大倉源次郎さんは、小鼓の奏者です。
能を演ずる際に、シテ方さんたちの後方で囃子を奏でる方の1人です。
素人の私たちに向けて、非常にわかりやすい言葉で話してくれました。

その後、能楽鑑賞ということで、
まずは狂言、和泉流の「魚説法」という演目を観ました。
狂言の前にまず、野村萬斎さんがミニ解説ということで、
魚説法の説明をしてくれました。
そもそも、この能楽サークルというイベントが、
小中学生に能楽に触れてもらおうという趣旨ですので、
子供たちがたくさんいます。
その子供たちにもわかるように話してくれるので、
かなり噛み砕かれた、わかりやすい解説です。
萬斎さんは、声が低く、けど通る声で、美しい佇まいで解説してくれました。
やはり、日本の伝統芸能、特に能楽に携わる方の姿勢、あれは素晴らしいです。
背筋がキッと伸びていて、本当に美しい。
かっこよかった〜。
・・・と思うと、いけない、いけない、萬斎さんの狂言を観にきているのだから、と
自分で自分を戒めます(笑)

その後、能のミニ解説でシテ方宝生流、辰巳満次郎さんの話を聞きました。
今日の能の演目は「船弁慶」
満次郎さんのお話も、もちろん子供に向けているからなんですが、
非常にわかりやすいし、おもしろい。
演ずる方がこうして解説してくださることというのもなかなかないので、
非常におもしろかったです。

さて、狂言の魚説法です。
私、席は一番後ろの列だったのですが、正面のド真ん中だったんです。
本当に能楽堂の真正面。私の席が本当に真正面。
というのも、私の座っていた最後の列以外の正面席は、
全て小中学生の席になっていて、
大人のほとんどは脇正面か中正面から鑑賞だったんです。
それに一番後ろといっても能楽堂ですから、それなりに近い距離で観ることができます。

これがね。よかった。
やはり、正面で観ると違うな〜と、実感しましたね。
今まで、何度か能楽、観たことあります。
けど、それはほとんどが能楽堂ではなく、
初めて能楽堂で観た前回は脇正面でした。
脇正面でも、もちろんおもしろいんです。
正面から観るのとは違うところが観られるし。
けど、正面はやはり違う。全てのバランスが整って見えるね。
正面なんだから当然なんだけど。
演目として完成されたその形、美しさに、
それこそ息を飲みましたね。
あ〜、そりゃ正面即売り切れにもなるものだよ〜と。
狂言だけではなく、能にも言えます。

魚説法は、解説であらすじをほぼ理解していたこともありますが、
とてもおもしろかったです。
萬斎さんが解説の最後に「そうそう、この狂言ではトビウオもでてきますよ。
どこに出てくるのか、しっかり聞いていてくださいね」と言ってましたが、
とても滑稽というか、笑わせてくれるところでトビウオがでてきました。

私が個人的に萬斎さんが好きなんで、贔屓目で見てるからとは思うけれど、
やはり、萬斎さんは声の出し方が違う気がする。
抑揚のつけ方とか、鮮明さとか。すごいな〜。

狂言の後は、能「船弁慶」です。
能を観るのはひさしぶり。
ただ、前に観たときは、やはり能は難しいな〜という感想で留まってしまいました。
というのも、「能楽」という言葉で能と狂言は対にされているけれど、
言葉がね、けっこう違うんですよ。
狂言だって、昔の言葉はたくさん出てくるけれど、
でも聞いてるだけでもだいたい意味がわかる程度なんです。
が、能となると、発している言葉のほとんどの意味がわかりません。
これは子供だけじゃなくて大人も。
満次郎さんも、解説の時に「意味がわからないと思うけど日本語じゃないと思って
聞いていてください」と言っていましたけどね。
でも、今日の船弁慶。
細かく解説があったおかげで、あらすじや、ここのこれはどういう効果がある、
などなどがわかっていたので、すごくおもしろかった!!
能を「おもしろい」と思ったのは、正直初めてです。
そのくせ、昨日の寝不足がたたって、何度かオチてたんですけど(笑)

でもね、本当におもしろかった。
舞や揺をトータルした美しさが、能にはあるし。
通の方なら、解説はいらないだろうけど、
私みたいな素人には、細かい解説がないと楽しめないな〜なんて思いました。

萬斎さんも、満次郎さんも言ってましたが、
能楽は「つもりで観る」ことが重要だそうです。
例えば、狂言で太郎冠者が京へ行く、という設定があったとしましょう。
(私が勝手に仮定していきますんでね)
太郎冠者が主人に向かって、「京へ上る」と発します。
それで舞台を1周する。と、そこは主人の家から一転、京の街になるわけです。
能楽では、映画やドラマではありえない設定もたくさんあるけれど、
あると思って観る。自分の頭の中でイメージする。観ながら聞くことが大切だそうです。
そして、それこそが能楽の楽しみ方だと。
自分の中でいくらでも情景を膨らませることができるのが楽しみなんだそうです。

今日は、能、狂言の演目もいつも以上に楽しめた気もしますが、
それ以上に演じる方の解説、お話を聞けたことは、もっとおもしろかったです。
やはり、まだまだ能楽の世界の入り口しか見ていないようにも思うし、
どんどん中に入っていってしまうんだろうとも思います。
おもしろいよ〜。狂言も、能も。

宝生

2005年7月28日 狂言
さてさて、今日はいよいよ能楽堂での狂言デビューデイ。
狂言風に言えば、能楽堂鑑賞を披く、とでも言おうか。
わざわざ半休をとってしまった。
定時にあがればギリギリ間に合いそうではあったけど、
定時にあがれる保証がないので。

半休とったらちょっと時間に余裕ができたので、美容院へ行く。
いつものことながらひさしぶり。
美容師さんが異動になってしまったので、初めて行くお店ではある。
本当ならば、パーマもカットもしたいろころだけど、
さすがにそんな時間はないので、今日はカラーのみ。
落ち着いた色になる。満足。
お店が変わったからか、ずっと担当の美容師さんがやってくれた。
そんなの当たり前かもしれないけど、前の店にいたときは、
忙しいのか、ロットを巻くのは別の人に頼んだり、
カラーを塗っていくときは別の人に頼んだりというのがよくあった。
15時に予約して、実際にカラーリングにとりかかったのは15時半くらい。
その間30分、どうしたい、という会話はしたけれどあとは待たされてて、
時間に余裕ないって言ったのに、と私もイライラしてたから、
美容師さんが来るなり「時間どれくらいかかりますか」と不機嫌そうに言ったから、
気を遣ってくれたのかもしれない。
でも、担当者の人がずっとやってくれるのが当然だと思うんだけどね。
ましてやいつも予約して行ってるんだから。
無理だったら予約の段階でその時間は無理ですって言ってくれたほうがありがたい。

17時までに終わらせてほしいといったら、本当に17時5分前に終わらせてくれた。
おかげで余裕をもって次の行動に移すことができる。
次なる目的地は水道橋。本日のメインイベント。
野村狂言座の公演が宝生能楽堂にてあるのです。
途中、新宿に行って、32歳ガン漂流を買う。
ちょーど、水道橋に着いたとき、31歳のほうが読み終わった。

水道橋に下りると、今日は巨人戦のため帰りが混むから切符は買っていけよ、
というアナウンスが流れてる。そっかー、ナイター客と同じ電車にはなりたくない。
帰ってきて知ったけど、おまけに今日は阪神戦。人の多さはいつも以上のはず。
結果としてナイター終了よりも早く、こちらの公演のほうが早く終わったので、
混雑に巻き込まれることはなかったけれど。

宝生能楽堂に着く。平日だってこともあり女性客が7割くらいかな。
おばはんもいれば、けっこう若い子というか、私と同じ年代の人もいる。
1人で観に来てる人もかなりいる。
私の席の周りの人はシングルプレイヤーが多かった。私も含め。
席は脇正面なんだけど、予想していた通り、前から3番目。能舞台が目の前。
能舞台って、知ってる?
向かって左から舞台にかけて、橋懸という廊下みたいなのがあって、本舞台がある。
その本舞台に正対するのが「正面」席。
橋懸から歩いてくる役者と同じ方向を向くようにして座る、
つまり本舞台に向かって左側から観るところ、それが「脇正面」
正面と脇正面の間が「中正面」という席になっていまして。
脇正面とはいえ、ほんと、すぐそこが舞台。
ほんの数m先で狂言が演じられてて、いい迫力でした。

狂言って観たことある?
なにもずっと正面向いてやってるわけじゃないのよね。
脇正面を向いて演ずることもしばしば。
だから、萬斎さんと向き合う(ということにしておく)こともしばしば。
すてきな喉仏だった(笑)

今日、地震あったでしょ?また。
ちょうどその時、狂言鑑賞中だったの。
観客も騒いだりはしなかったけど、ちょっとざわっとしたの。
その時、万之介さんと万作さんが演じてて、
ちょうど万作さんが話してる時だったんだけど、
お二方ともぴくりともせず、何事もなかったかのように事は進みました。
プロだなーと、思ったり。

今日の演目は「舟渡聟」「菊の花」「鉢叩」だったの。
鉢叩はたくさん人が出る狂言で、萬斎さんもだけど、
最後に裕基くんがでてきたのね。
靭猿の特集見た時はまだ3歳で、よちよちしてたけど、
あれから考えたら今は5歳くらいなのかなー。
それでも細っちくて、ちっさかった。
ほんとにあの子、細いよ。もやしっ子だよ。
けど、かっこよくなりそうな顔してきたなーって思ったよ。
彼も、狂言師になるのかなー。
いろんな演目を「披く」時に立ち会えるとしたら、裕基くんだからなー。
あんな小さかった子がね〜と、30年後言えるようになるだろうか。

萬斎さんは、狂言のことをなにも知らない私が言うのもなんですが、
狂言師としていい時期じゃなかろうか。
本を読んでる限りだと、狂言師も、年齢や経験によってできる役があったりする。
厳密に「○歳じゃなくちゃやっちゃいけない!」というのがあるわけじゃないみたいだけど、
それに値するだけの幅が必要だし。
かといって、万作さんならなんでもできるというわけじゃなくて、
若めの役となるとやっぱり他の人がやることになるだろうし。
萬斎さんは、いろんな目で見て、今が多様な役ができる時期じゃないかと思う。
狂言師として、潤沢というか。
鉢叩はね、たくさん人がでるんだけど
やっぱり萬斎さんの声が一番通る声だった。きれいだし。
これが狂言の家に産まれて育つってことなんだろうなーなんて、
漠然と思ったりもしました。

堪能できたなー。おもしろかった。笑ったし。
千之丞さんが、狂言は現代の演劇です、みたいなこと書いてたけど、
本当にそうだなーと思いました。
伝統芸能、というよりも、今の時代に生きてる芸能だと。
鉢叩は揺があるんだけど、私、つい一緒に手拍子しそうになっちゃったよ。

また来月、能と狂言を見て、
次は11月くらいになるかなー。がんばってチケットとろうっと。

 
20時半ごろに終わって、どう廻りで帰ろうかなーと思ってたら、
「携帯いじってるとこ悪いんですけど」と声掛けられて、
誰かと思ったら、知らないサラリーマンだった。30歳くらいの。
一緒にご飯を食べに行こうと誘われた。
まさか水道橋で声掛けられるとは思ってもみなかったわ。
30分でいいから、って30分で済むわけないじゃん。
今日はうなぎの日だよって近くにうなぎ屋あるのかよ?
とか言いつつ、実は「ごはんくらい、ついてってもいいかなー」と
ちょっと思ってたりもしました。
別にそのリーマンはかっこいいわけじゃないですけどね。
でもおごってくれるんだし、とかね。
じゃ、なんで行かなかったのかというと、
私なんか声かけないでもっとかわいい子に声かければいいじゃん、と思ったからです。
今日、美容院帰りだから、髪つやつやだから、
それに惹かれてつい声かけちゃったでしょ?と。
顔見てガッカリしちゃったでしょ?と。
チャンスをください、ちょっとだけ、とか言われたけど、
んなこと思ってないくせにー、と思いながら丁重にお断りしてきました。

それにしても、また「学生さん?」と聞かれたんだけど。
私、そんなに学生に見える?けっこういい年だよ?もう4年目だよ?
いいんだか、悪いんだか。ねぇ〜。

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