ざざんざ

2006年4月15日 狂言
春狂言@国立能楽堂

狂言:樋の酒
主人・茂山宗彦 太郎冠者・茂山逸平 次郎冠者・茂山童司 後見・丸石やすし

狂言:月見座頭
座頭:茂山千作 上京の男・茂山千三郎 後見・茂山あきら

狂言:花折
住持・茂山千之丞 新発意・茂山七五三 
花見の衆・茂山あきら 茂山宗彦 茂山逸平 茂山童司 丸石やすし
後見・島田洋海 増田浩紀

まず、千之丞さんの解説がありました。
茂山さんの狂言は、必ずお話があるみたいですね。
私のような初心者には、この解説というのが非常にありがたい。
狂言をより楽しめるポイントです。また楽しく話してくれるし。

樋の酒という演目は、茂山家では明治以降に禁止された20演目のうちの1つだそうで、
茂山家のこれは大変に珍しいそうだ。
話としては、棒縛りにとても似ています。
逸平さんと童司さんとが、舞うところがあるんですが。
設定としては、それぞれ別の蔵に閉じ込められているのですが、
舞台では2人が一緒に舞っているので。
それがとても愉しげでばっちり合っていて(当たり前か)
観ているこっちが愉快になりました。
国立能楽堂って、正面席の後ろ、GBにあたるところ。
あそこに鏡が張ってあるのね。今日は私、脇正面だったので気付いたんだけど。
っていうか、能楽堂ってどこも張ってあるのかな?
そこに舞っている逸平さんと童司さんが映ってました。
もしかして、本人もあの鏡で確認してたりするのかな。

月見座頭はね。さすがは千作さんです。
終わったあと、私の後ろのほうの座席の人が
「本当に虫の音が聞こえるよねー!」と言っていたけど
本当にそうなんですよ。こっちはきりぎりす、こっちは鈴虫、と
虫の音に耳を傾けているんですけど、私にもそれが聞こえてくるかのようで。
下京に住む座頭の千作さんは、上京に住む男の千三郎さんに最後、喧嘩をふっかけられて、
倒されてしまうんです。その時、千作さんの醸し出す哀しげな空気。
思わず涙が浮かんでしまいました。
私、脇正面の一番橋掛かりに近い席だったんです。
だから、一曲終えて、まずは千三郎さんが引いていって、
それから、座頭の千作さんが帰って行ったんですけど、
橋掛かりを歩いている時の息遣いまで聞こえてきてね。
一曲やり通すとそれは当然、かなりエネルギー使うんでしょうね。
その呼吸の1つまでもが座頭さんとしての呼吸に聞こえてきて、
なんか込み上げてきそうになりました。この人、やっぱすごいよ。

花折は、人数も多く、お花見がテーマの番組だし、とても愉しく軽快でした。
で、びっくりしたのが七五三さんの第一声。
七五三さんと宗彦さんの声がそっくりなのね。親子だから当たり前だけど。顔も似てるし。
おんなじ声してるから、あら〜!ってびっくりしました。
なんでだろう、私、七五三さんの狂言を観るのはたぶん初めてだと思うんだけど、
橋掛かりの私の横を通るときから「この人七五三さんだ」ってわかりました。

茂山家単独の狂言を観るのは今日が初めてでした。お豆腐狂言デビュー。
やっぱり全然違うんだね。野村家とは。
茂山さんのほうが、観客との距離が近いと思う。
お客さんもよく笑う。私も笑ったけどさ。
これが家によって違うところなんだろうけど、
茂山さんの狂言は、能楽堂全体の空気があったかい。
野村さんのほうが、ぴりっとしてるんだよね。

初心者の私が言うのもなんだけど、
たぶん、狂言を初めて観る人って、
茂山さんよりは野村さんから入る人のほうが多いと思う。特に関東では。
狂言っておおいに笑うものだけど、どこか「これって笑っていい?んだよね?」
みたいな空気があるような気がしました。
茂山さんの狂言を観る人は、多少なりとも狂言を観ている人なんだろうな。
前にも書いたけど、狂言好きな人はきっと茂山さんのほうが好きなんだと思う。
だから、笑いどころを知っているし、笑い方も知っているのかなと。
って、私、野村家も大好きですよ。和泉流のが観てるし。

茂山さんのほうが「家」っていう印象が強いですね。
今日の花折も、七五三さんがいて宗彦さんがいて逸平さんがいて、
あきらさんがいて童司さんがいて、って。
あきらさんと童司さんもそっくりね。顔つきが。親子だから当たり前だけど。

東京では9月に、茂山さんの納涼狂言があるんだけど、
そのフライヤーを今日もらって、リクエストの演目が決定してました。
5/1にチケットは一般発売なんだけど、先行して今日、会場で売ってました。
けど、私、このチケットすでに入手済みだもーん。
実はこの9月の狂言まで、現在のところ未定なので、
6月くらいにまた、狂言を観に行こうと。チケットとるぞーと思っています。

千之丞さんが、「今日はどれも小舞がありますが、終わりはどれも
『ざざんざ 浜松の音は ざざんざ』ですので、
これが聞こえたらつまらない小舞も終わりだと思ってくださいね」と冗談言ってましたが(笑)
とても短い謡ですよ、と言ってましたが、なんともリズミカルだったので、
ちゃーんと覚えてきました!

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